大公開 其の一!! 付録の一部をご紹介いたします。本体『手塚治虫創作ノートと初期作品集』のご紹介はまた後日・・・

モモーン山の嵐

「モモーン山の嵐」は、1961年 10月20日に発行された「手塚治虫作品総目録」に1947年に有文堂より発行と記載されているだけで、いまだに実物が確認されていないため、手塚治虫唯一の幻の単行本となっている。目録とこの未使用原画で、かろうじてその存在が推測されるのである。未使用原画の大きさから推定すると、1947年7月15日に同じ有文堂より発行された「バット博士とジム」と 同様の、角判(B20枚どり)の16ページほどの薄い本ではないだろうか?

来るべき世界

「来るべき世界」は未使用原画が無数に存在すると思われるが、その中の1枚である。ここではムッシュ・アンペアが鉄心臓ウイスキーを演じているが、粗筋ノートの登場人物紹介、本編ではそれぞれ違うスターが演じており、そういう意味で貴重な原画といえるだろう。

メトロポリス

1949年9月15日に描き下ろし単行本として育英出版より発行された「メトロポリス」の表紙用未使用原画。今回の構想ノートには載っていないが、この未使用原画の鉛筆だけの下書きが存在する。

有尾人

1949年7月15日に描き下ろし として不二書房より発行された「有尾人」の途中原画。この頃の単行本は指定の2色の場合、薄い墨アミ、濃い墨アミ、薄い赤アミ(肌色)、濃い赤アミ、赤ベタ、茶色(薄い墨アミと薄い赤アミの掛け合わせ)、濃い茶色(濃い墨アミと濃い赤アミの掛け合わせ)という7種類の“アミ”が伏せられていたため、原画は主線のみだった。

怪人コロンコ博士

1947年10月5日に描き下ろし単行本として同盟出版社より発行された「怪人コロンコ博士」の未使用原画。手塚治虫は1947年8月7日から18日まで上京して、出版社やマンガ家の家などを訪ねまわったが、そのときに話がまとまってこの単行本が出ることとなった。

手塚治虫創作ノートと初期作品集について

1994年4月25日、兵庫県宝塚市に宝塚市立手塚治虫記念館がオープンしたが、その展示品をさがすため、1993年8月に東京都東久留米市にある手塚治虫の自宅3階の展示用にしつらえられたコレクションルームを整理したところ、75冊の構想ノートが見つかった。かねてから手塚治虫は自分の展覧会で構想ノートの一部を公開していたけれど、こんなにたくさんあるのは想像外だった。主に昭和20年代の単行本描き下ろし時代のものである。そのうちの10冊に「来るべき世界」に関する下書きやシノプシスなどが載っており、構想ノート全体を見ても「来るべき世界」にちからがはいっているのが見てとれた。その後記念館独自の商品をつくるという企画が持ち上がり、「来るべき世界」の部分だけを抜粋して復刻した『「来るべき世界」構想ノート』が製作され、1994年8月4日の企画展の模様替えに伴い発売された。
今回は抜粋ではなく、ノート一冊をまるまる復刻するという企画で、75冊の中から10冊を選んでいる。“構想ノート”だからマンガがきちんと完成されているわけではないので読みにくい部分もあり、比較的絵の多いもの、有名作品の掲載さ れているものを中心に選んだ次第である。

株式会社 手塚プロダクション 資料室
森 晴路

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