藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐのデビュー単行本

UTOPIA 最後の世界大戦

1953年に鶴書房が出版した、藤子不二雄の最初で最後の描き下ろし単行本。

手塚治虫の紹介を受けた鶴書房がふたりに依頼し、足塚不二雄名義で単行本化された。しかし、表紙を大城のぼるが執筆し、他のマンガ家の作品とのカップリングで出版されたために、その後2度の復刻では藤子が新たに表紙を描き、カップリング作品は外した形でオリジナル通りではなかった。

今回は、松本零士が保存していた原本などを元に初版の本文2色を忠実に再現した完全復刻が実現した。

第3次世界大戦でS連邦が使った「氷素爆弾」により凍りついた地球。シェルターに閉じ込められ100年後に蘇った少年が見たのは、氷素爆弾の被害から立ち直り、科学文明の発達したユートピアとして再建された地球だった。終末SFとして現代にも通じる名作。

■書誌データ

  • ■区別:復刻コミック
  • ■ISBN:9784778031886
  • ■商品名:UTOPIA 最後の世界大戦
  • ■著者:藤子・F・不二雄/藤子不二雄Ⓐ
  • ■本体価格:3,800円
  • ■形体:B6判 上製函入り
  • ■発売日:2011.8.25

特別コラム

中野晴行曰く

この作品は、高校を卒業したばかりの藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐが、合作ペンネームの足塚不二雄として1953年に発表した、ふたりにとっては最初で最後の描き下ろし長編単行本です。富山県高岡市の小学校で出会ったふたりは、手塚治虫のSF長編『ロストワールド』『メトロポリス』『来るべき世界』などに強い影響を受け、高校時代からこの作品の構想を練っていました。

卒業後、藤子・F・不二雄は地元の製菓会社に、藤子不二雄Ⓐは地元の新聞社に就職しましたが、藤子・F・不二雄はマンガに専念するためにまもなく退職。ちょうどそのころ手塚にふたりのことを紹介された出版社が描き下ろし単行本の執筆を依頼してきたのです。

ふたりは、暖めてきた構想を作品化することしました。平日は藤子・F・不二雄が主に執筆にあたり、土曜日の午後と日曜日に藤子不二雄Ⓐが手伝うという形で、1年以上の時間をかけて完成されました。

のちのふたりの作風から判断すると、シナリオやコマ割には藤子・F・不二雄のテイストが色濃く出ています。未来都市のビル群なども藤子・F・不二雄の絵。当時はSFの資料がほとんどなく、藤子不二雄Ⓐによれば、「氷素爆弾」で地球が凍る場面はニューヨーク・マンハッタンの写真を、ガラスコップの向こうに置いて描いたものだそうです。

ふたりには、高校時代に『毎日小学生新聞』に連載した四コママンガ『天使の玉ちゃん』というデビュー作がありますが、プロとしての真の出発点は、このデビュー単行本『UTOPIA 最後の世界大戦』にあるのです。

本書の読みどころ!

POINT01


©藤子プロ 藤子スタジオ

第三次世界大戦が激しさを増す中、最終兵器として投下された氷素爆弾によって、世界は氷に閉ざされてしまった。100年後、ひとりの少年が、長い眠りの中からロボットによって助け出された。少年が目覚めたとき、人類はその叡智を集めてユートピアを築いていた。

POINT02


©藤子プロ 藤子スタジオ

理想の世界と思われたユートピアだったが、ロボットを働かせることになれた人類は堕落して、独裁者の言うなりになっていた。一方で、ロボットたちはときおり奇妙な行動をするようになり、それが問題になっていた。その背景にはひとつの陰謀が?